進路指導室から

進路部長   山本 青史 

◆ はじめに
 10年入試では、深刻な不況を背景にして国公立志向・地元志向・資格志向がより鮮明となった。センター試験は昨年に引き続き難化したが、国公立大の志願者数はむしろ増加した。18歳人口の減少が一段落し増加に転じていることに加え、学費の安い国公立大学にこだわる受験生が例年以上に多かったと考えられる。私立大においても、受験費用を節約できるセンター利用入試の積極的な利用が目立った。国公立大・私立大ともに、センター試験難化により難関大を敬遠し1ランク落として受験する安全志向と学費節約という意味での地元志向の強まりも見られた。このように、深刻化する不況とセンター試験難化は、09年入試以上に受験生の志願動向に影響を与え、受験生の動きを予測しづらいものにした。この傾向が11年度入試でも続くのならば、受かるはずの大学に落ちるということも十分考えられる。学部・学科の系統別についても「不況型」傾向が見られ、医療・看護や教員養成系統などの資格系統学部の人気の高まりが見られた。不況による厳しい就職状況が伝えられるなか、卒業後の就職が見込める分野に人気が集中したと考えられる。
 このような状況は本校生徒の進学にも少なからず影響を与えたように思われる。今春の卒業生の進学成績を振り返ってみよう。

◆ 国公立大学
 国公立大の合格者数は40名(うち既卒は3名)で、前年度の43名には至らなかったが、合格者の大半は現役生であり大いに健闘したと言える。中でも高知大学医学部医学科、大阪大学理学部に合格者を出し、国公立大の看護系学科に現役生のみで11名の合格というのは特筆すべきである。地元の高知大・高知女子大および昨年4月より公立大学に移行した高知工科大の合格者総数は21名で、昨年の25名を下回ったが、センター試験難化や地元志向の高まり等で苦戦したことを考えると十分評価できるレベルである。

◆ 私立大学  
 私立大については、関東・関西の難関大を含め、前年と同程度の成果を上げた。合格者数(延べ数)は200名で、前年の257名を下回る結果となった。その理由として、学年在籍数の減少や国公立大志向・地元志向の強まり、そして生徒1人あたりの平均受験校数が昨年の2.6から2.3に減少したためだと考えられる。また、指定校推薦を利用する生徒の割合が大きくなってきたことも1人あたりの受験校数減少の一因と考えられる。私立大を受験した生徒は161名で、その内5校以上受験したのは22名、最高は14校(昨年は27校)であった。私立大合格者200名の内訳は関東が29%の58名、関西が53%の106名、中国が7%の14名、四国が7%の13名などである。
 私立大進学者150名の54%である81名(昨年は42%73名)が指定校推薦を利用したが、できるだけ指定校推薦を利用する人数を少なくしたい。志望する大学・学部が指定校にあれば利用するのも一つの選択肢だが、最初から指定校ねらいは考えものである。進学したい大学が指定校にあるとは限らないし、あっても同じ学部・学科とは限らない。安易な考えで臨むと努力を怠り、失敗する可能性がある。妥協せず一般試験で合格する努力をしてほしい。  今春の大学合格者のほとんどは現役生である。卒業生一人一人の健闘を讃え、未来に幸多からんことを祈りたい。そして、あとに続く後輩諸君の頑張りを期待する。

◆ 11年入試に向けて
 さて、いよいよ11年入試に向け、競争の火蓋が切られた。よく「大学全入時代」だと言われるが、「全入」といっても合格率100%というわけではない。最近の入試では、国公立大・私立大ともに実質競争率は平均3倍前後で推移している。そのような中で、人気のない大学では志願者が減少し、難関大学では増加するという「二極化」が進行中である。実際、私立大学の半数近くが定員割れとなっており、局地的な「全入時代」であるとも言える。今春の入試では、「国公立大志向」が強まり、減少し続けていた国公立大志願者数は7年ぶりに増加した。また、二次試験で後期日程を廃止または縮小し「前期日程のみ」の大学・学部が増加するなど、国公立大への道はなかなか厳しい。また、都市部の有名私立大は入試改革を積極的に進め、多くの受験生を集めて競争が激しく難化している。今春では、「地元志向」が強まったためか、地方の私立大でも志願者が増加する地域があった。全国的にも地域内でも「二極化」現象が重なって起きていると言える。
 これからの受験生は、「就職に有利な大学・学部」、「資格が取れる学部・学科」、「学費の安い大学」を選ぶ傾向が高まっていくと予想される。大学の二極化が進む中、「大学であればどこでも良い」ではなく、自分の人生設計の中での大学進学であり、「どうしても入りたい、入らなければならない大学であるか」ということをよく考えて、志望校を決定してほしい。

◆ 合格のために
 最後に志望校合格を勝ち取るために、生徒諸君に実践してほしい事柄をいくつか挙げよう。
①志望校・志望学部を早期に決める。オープンキャンパスに参加するのも有効。第一志望は、まずは高めに定めるほうがよい。
②健康管理に気をつけ、規則正しい生活リズムの中で、学習時間を精一杯確保する。自分の部屋を、勉強に集中できる環境に整備することも大切。
③日々の授業を大切に、基礎学力を養う。
④年間学習計画を立てる。特に夏休みまでに基礎を確実にすることが重要。
⑤模擬試験を積極的に受ける。学習到達度の確認と弱点のチェックができる。
⑥自習室を活用する。自宅には何かと誘惑が多い。自習室は集中できるだけでなく、周囲の頑張りぶりがよい刺激になる。 本格的な「受験勉強」は一年近く続く。とりわけ高校3年生は、最後まで諦めてはいけない。「もうだめだ」という思いが自分の可能性に限界をつけてしまう。未来の自分が後悔しないためにも、今は「絶対合格するのだ」という強い信念をもって頑張ってほしい。

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