第三十二回全国高等学校総合文化祭を終えて


邦楽部顧問・理科  田中 裕子 

 八月八日・九日の二日間、群馬県太田市で開催された第三十二回全国高等学校総合文化祭・日本音楽部門に、土佐女子高校邦楽部員二十一名が出場いたしました。
 県内に邦楽活動をしている高校が他にないこともあり、総合文化祭には第十七回大会から毎年、本校邦楽部が参加させていただいております。生徒達には、全国レベルに触れる、とてもよい経験の場となっています。
 今年度の演奏曲は、本校校歌の作曲者である平井康三郎先生の作られた「祝典協奏曲」です。入学式等で何度かご披露しておりますので、ご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 この曲は四年前、現高校三年生が中学二年生の時、先輩達が猛練習をして徳島での総合文化祭に持って行った曲です。ところがあいにく、その年の日本音楽部門は、台風のため中止されてしまいました。抽選で選ばれた数校だけが演奏の機会を得、本校邦楽部も演奏はできたものの、審査の対象とはならず、部員達の「夏」は終わりました。そのこともあり、生徒達のこの曲にかける思い入れは大変大きなものでした。曲のテンポ、強弱、押し手の音(箏は左手で絃を押すことにより半音や一音高い音を出します)など、技術的なことはもとより、服装や所作等細部にわたってチェックを重ねてきました。残念ながら上位入賞はかないませんでしたが、納得のいく充実した夏を終えることができたと信じております。
 総文祭演奏後の反省会では、「リハーサルはとても緊張したけれど、本番では緊張よりも、これが先輩方と一緒にする最後の演奏だと思うと感慨深くて、とても落ち着いて弾くことができました」という後輩の声をたくさん聞きました。演奏を聴いてくださった方からは「心にしみる演奏でした」、「アットホームな雰囲気が  土佐女子高の演奏から伝わってきました」という声をいただきました。私も舞台のそでから、演奏技術だけではない、しっとりとした心のこもった演奏を聴かせてもらい、感激いたしました。
 高校三年生はこれで引退です。入部して初めて箏に触れた生徒ばかりです。最初は、長時間の正座すら難しかった中学一年生でした。週三回、窪田和葉先生にご指導いただきながら、毎日の練習を続けてきました。先生には「基本が大切だから」と教則から丁寧にご指導いただいてきました。今では、当初とまどった箏譜にも慣れ、初めての曲でも、自分達で練習してから先生にご指導いただけるようになりました。箏は、曲によって絃の音が異なります。そんな調弦も下級生の面倒を見られるまでになりました。「こんにちは」、「よろしくお願いします」で始まり、「ありがとうございました」、「お先に失礼します」で終わる挨拶や周りへの気遣いも下級生の立派なお手本となっています。
 邦楽部では、春の定期演奏会(今年で三十一回を迎えました)に始まり、夏の総合文化祭、秋には音楽会や文化祭、冬には弾き初め会と季節ごとの多くの行事があります。部員達は学年が上がるたびにそれらの行事にそれぞれの立場から参加します。その他にも入学式や、老人ホームへの慰問など、いろいろな発表の機会を与えていただいております。
 部員達は、時には技術的に満足できず、涙することもあります。先輩からの注意に落ち込んだり、後輩にうまく気持ちを伝えるために悩んだりすることもあります。しかし、その時々に話し合いをし、意見を出し合って解決してきました。部室の押入れの壁には、「決まり琴」と書かれた紙が貼ってありますが、これは、前年度の部長が代々の部長から受け継いだことを、後輩に伝えたいという思いから作られたものです。上級生は、時には厳しく、時にはやさしくと工夫しながら部活動を運営しています。練習の合間の掃除で、率先して隅々までぴかぴかにしてくれているのも上級生です。学年ごとのチームワークもよく、仲間の足りないところをさりげなく助けている姿もたびたび見かけます。縦の交流が少なくなり、人間関係を築くことに積極的でなくなってきているこのごろですが、六年間通じて、一つの目標に向かって上級生や下級生、仲間と助け合い、頑張ってきた時間は、これからの人生の強い味方になっていくことでしょう。そして、これからの新入部員もきっと、「決まり琴」を守りながら、部活動を続けていくことでしょう。
 本校邦楽部の歴史は大変古く、創立百周年記念誌によると、昭和十一年五月一日中村安恵教諭の熱意により新設、その道に堪能な校友佐竹涼子女史(昭和七年卒業)の熱心な指導の下に八十余名の部員がいそしんだと記されています。
 その後時を重ね、昭和五十年頃からは、窪田和葉先生の愛情溢れる熱心なご指導をいただいてきました。これからも、新しいものを取り入れながら、長い時間をかけて築かれてきた邦楽部の伝統を大切にし、礼節と和を重んじながら、箏の技術を磨いていってほしいと願っております。
 来年の総合文化祭は三重県鈴鹿市で開催されます。今後は、現在の中学三年生を加えた新メンバーで更に練習に励むことでしょう。来年も、総文祭で土佐女子の箏の音色をご披露できたらうれしく思います。

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